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校長贅言2-34 それぞれの挑戦 ~出発と帰国の一か月

国際交流

校長贅言

 夏休み最後の日曜日、8月30日の深夜に羽田空港第三ターミナルから1年間のアイルランド留学に向けて2年生が元気に飛び立ちました。

 出発時刻が深夜の0時過ぎであったために、友だちの見送りはありませんでしたが、家族に見送られる中で日本を後にしました。今回一人でアイルランドのMidleton Collegeに留学するOさんは、昨年度本校内での留学説明会に参加したものの、せっかく部活動を始めたということもあり留学への気持ちを1年間保留していたようです。しかし元々あった「留学への興味」が「留学したい」という意思に変わったことで、今回の留学の実現に繋がりました。未知の世界で積極的にチャレンジしたいという気持ちから日本人の少ないアイルランドを留学先に選んだというOさんの言葉からは、彼女の留学にかける思いが伝わってきます。本人は「消極的で人とコミュニケーションを取ることが得意な方ではありません」と述べていますが、だからこそこの1年間の留学でどのように変わるのかが楽しみです。

 深夜、家族の見送る中保安検査場に一人で向かう後姿は、とても頼もしく思えました。

 Oさんのアイルランド行きを見送って10日ほど経った9月11日(金)にはオーストラリアのロックハンプトンから、また、その1週間後の9月19日(土)には同じオーストラリアのブリスベンから、2年生のM君とMさんがそれぞれターム留学を終えて帰国しました。

 二人から留学の報告を受けることができたのは後期到達度評価試験の最終日、9月30日(水)でした。

 これまでも交流のあるRockhampton Grammar Schoolで1タームを過ごしたM君は寮で生活した感想を「アットホームで、みんなが兄弟のようだった」と話してくれました。授業をともに受けているだけでなく、一緒に生活をしていたことで多くのサポートを寮生から受けることができたようです。また今回初めて留学を受け入れていただいた、ブリスベン郊外にあるSt John's Anglican Collegeへ留学したMさんはその期間をホストファミリーと過ごしましたが、休日は色々な場所へ連れて行っていただくなど、こちらも有意義な留学期間を過ごすことができたようでした。学校での生活も、バディの助けなどもあり少しずつ馴染むことができたようです。M君が「ターム前半は生活に慣れるのが大変だったけれども、後半は充実した日々を過すことができた」と話してくれましたが、これは二人に共通する感想だったようです。留学生だからといって「お客様扱い」をせず、一般生徒と同じように扱ってもらえた点は彼らにとって「良い点」になったようです。Mさんの学校ではLGBTQやDV、宗教などに関する授業があり、多くのことを考えさせられたとも語ってくれました。二人ともできるだけSNSを使わないよう意識し、同級生やホストファミリーとの会話の時間を多く持つよう心掛けたようです。生徒の一員、家族の一員として認識されるためには当然英語力が必要とされたために、英語の力が伸びたということは二人に共通する実感だったようですが、それ以上に「精神的に成長できた」というのが一番の感想だったようです。

 M君は「できるだけ周囲の人たちと関わることをこの留学でのテーマとしたため、引っ込み思案になりそうな自分を鼓舞することで成長できた」、「日本にいたときの悩みを俯瞰することができるようになった」と話してくれました。またMさんは「周囲の応援があり、この留学を実現することができた。ここであきらめるわけにはいかないと自分に言い聞かせることで、『あきらめない力』を身につけることができた」と話してくれました。

 これから留学をしたいと考えている人たちには「留学直後は、ためらうことなくすぐに行動した方が、短い留学期間を有意義に過ごすことができる」、「心をオープンにし、名前を憶えて呼びかけたりすれ違う際にも声をかけたりすることで仲良くなれる」、また「自分から趣味や特技などを話すことによって仲良くなれる」といったアドバイスも話してくれました。オーストラリアで過ごした2か月は、二人を成長させるかけがえのない時間になったようでした。

 さらに10日後の9月29日(火)の早朝には、ニュージーランドの4校へターム留学をしていた総勢14名が帰国しました。そしてその14名に加えて、Waitaki Girls' High Schoolから留学担当責任者のHellier先生と、10月から2か月余りを本校で過ごすことになるWさんも帰国した生徒とともに成田空港に降り立ちました。

 10月2日(金)から登校したWさんは、朝のHRの時間にGoogle Classroomを通して全クラスに紹介され、12月初旬まで本校の1年生とともに授業を受けることになります。初登校の朝はとても緊張していたようですが、放課後に話をすると、クラスの人たちや先生方に親切にしてもらい緊張はほぐれたと話してくれました。東洋高校では、25年も前にアメリカからの男子留学生を、また18年ほど前にアメリカの女子生徒を短期間受け入れたことがありますが、それ以来の留学生受け入れとなります。留学生のWさんがいることで、生徒たちの中に今後どのような「化学反応」が生まれるのかが楽しみです。

 そのWさんの来日とともにニュージーランド・ウェリントンより帰国した14名には10月8日(木)に、報告を聞くことができました。

 ニュージーランド北島・ウェリントン郊外の三つの高校と、南島の一つの高校に分かれて、それぞれの約二か月間を過ごしたため、学校の環境、クラスの環境、ホームステイをしたファミリーの環境などでそれぞれ異なる部分があったようです。受け入れてくださった学校のスタッフの態度や、ホストファミリーが出してくれる食事に対するマイナスの意見なども人によっては出てきたので、それらの中で改善できそうな点については、その意見を東洋高校として相手側に伝えて行こうと思います。ただ、留学生たちが「嫌だった」、「辛かった」と感じた事柄の中には、「もう少し意思の疎通があれば回避できたのではないか」と思えるような事例もありました。「お客さん」としてではなく、「家族」として受け入れてもらうからこそ、良い点も悪い点も口に出して相手に伝え理解してもらうといったコミュニケーションが、留学には必要です。ただ、この「気持ちを十分に理解してもらえなかった」という経験も、今後の自身の成長の糧にすることができるのではないかと思います。

 もちろん学校やホームステイでの体験では、良い意味で思い出に残ることが多かったようで、様々な場所にホストファミリーに連れて行ってもらったり、誕生日を祝ってもらったりといった、大切な思い出として心に残る経験ができたようです。また、学校ではニュージーランドの友だち以外にも様々な国から来た留学生たちと仲良くなれたようで、今後も交流を続けて良くと語ってくれた人もいました。これから留学をする生徒へのアドバイスとしては、「ターム留学の期間はあっという間に過ぎ去ってしまうので、自分がやりたいと思ったことは遠慮せずに最初から全部やった方が良いです」、「心をオープンにして、結果を恐れずどんどん話しかけた方が良いです」といったことも話してくれました。

 留学を経ての成果としては、「コミュニケーション力が向上した」、「細かいことは「ま、いっか」と思えるようになった」、「毎日家事をしてくれている親に心から感謝できるようになった」、「家族との時間を大切にできるようになった」、「何でもやってみようという精神が身に付いた」などの声が聞かれました。

 全てのターム留学参加者が「行って良かった」と言ってくれたのが、送り出した側としては何より嬉しい言葉でした。多くのことを吸収できる高校時代だからこそ、留学体験を通して世界の広さを体感し、様々な価値観の違いに気づき、自らを表現する様々な術を身につけて行ってほしいと思います。

 留学経験を経てそれぞれの思いを持ち帰った生徒たちの、これからの活躍が楽しみでなりません。