MESSAGE

世の中を見据えて、自分を見つめて、
可能性を広げてほしい


東洋高等学校 校長 石井 和彦

 現在(2021年6月)も依然としてコロナ禍が落ち着く気配を見せませんが、押さえるべきポイントは見えてきて、学校生活の中でも学年集会や体育祭などが実施できるようになってきました。その学年集会のときに、十分な学習活動や課外活動、行事などが行えなくてすまない、というお詫びとともに、生徒の皆さんが意欲的に学習やクラブ、行事に取り組んでいる姿勢がすばらしいと感想を述べました。
 私自身が高校生であったときは、目標も見当たらず、勉強は苦手で、ただ本を読むことだけは好きで、それだけを理由に大学で近代日本文学を学びました。江戸時代から明治時代になって文学はどのように変わったのか、それぞれの時代の一人ひとりは何を望み、何に喜びを見いだし、どのようなことに辛さや悲しさを覚えたのか、そういったことに興味を持っていたからです。十代後半の私はなんとも言えない圧迫感を感じながら、胸の裡では何かをしたいという衝動と焦り、劣等感と根拠のない自信などがぐるぐると渦巻いていました。まじめな学生ではありませんでしたが、興味のある文学にのめり込んでゆく中で、文学というジャンルが歴史や政治、文化や哲学などさまざまな学問に通じていることを実感し、目の前の世界が急に啓けていく想いをしたことを覚えています。今の私に、社会人として、教員のひとりとして何か生かせるものがあるとすれば、それは学生時代に身についたのではないかと自己分析しています。
 私は、高度成長期に小学生時代を送り、社会人になってバブル期を生きてきました。今、コロナ禍の時期を生きて、教員だからとかオトナの建前とかではなく、これからを生きる人には 考える力、判断する能力、そして行動力などが必要だと、ことあるごとに痛感します。そして、これらの力は学ぶことによって養えます。机上の勉強ばかりではなく、他人の話や行動、メディアの情報などなど、なんでも学ぶ対象であり材料になります。同時に大事なのは、学ぶこと=未知のものを知ること、わからないことを理解することを楽しむことです。
 15歳の皆さんには、身近に嫌なことや、説明のできない不安などもあるかもしれませんが、世界は皆さんが想像する以上に広く奥深いと思います。その広さ・奥深さの一端を見つけるために、東洋高等学校で仲間や先生たちと勉強や行事、クラブ活動にがんばってみませんか。