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校長贅言2-28 想いが一つになった時空間

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校長贅言

 7月12日(日)、梅雨の最中の大田スタジアム。幸い、曇り空のため直射日光による暑さはありませんでしたが、蒸し暑さは避けることができません。風はあるものの、汗が噴き出てくるようなこの日、野球部が全国高等学校野球選手権大会・東東京大会の初戦を迎えました。11時10分試合開始、対する相手は北里大学附属順天高校です。3塁側の東洋高校の応援には、吹奏楽部、ソングリーダー部を中心に、多くの生徒や保護者、関係者、OB・OGが駆け付けました。

 試合開始前のバックスクリーンを見ていて妙な違和感を覚えたのですが、その正体は「DH」という標記、昨年度の夏大会にはなかったDH制が導入されたのを初めて目にしたが故の違和感でした。

 試合は相手の先攻で始まりました。先頭打者をショートゴロ、2番手を三振に打ち取り、3番打者に対しても打ち取った当たりだったのですが、ショートの一塁への送球が逸れて、ランナーを出してしまいます。しかしその後の4番を三振に打ち取り、幸先の良いスタートを切ることができました。この流れを攻撃に繋げたい1回裏、先頭打者のあたりは良かったのですが、レフトフライに倒れてしまいました。2番打者がデッドボールを受け、3番打者がセンター前ヒットと続き、先制のチャンスが訪れました。応援席の期待が高まる中でしたが、4番打者がダブルプレーに倒れ、先制の好機を逃してしまいました。2回表。相手の先頭打者をファーストゴロに打ち取ったものの2番打者にファールで粘られ、ファーボールで塁に出してしまいます。次の打者のセイフティーバントは一塁でアウトにしましたが、その後にレフトオーバーの三塁打を打たれ、1点を先制されてしまいました。嫌な流れになりましたが、すぐに後続をセカンドフライで断ち切り、追加点を与えずに終えることができました。1回に断ち切れてしまった流れを呼び戻したい2回裏でしたが、先頭打者がセカンドフライに倒れてしまいます。応援にも一層の熱が入ってきたのですが、2番手もサードゴロ、3番手の打球はファーストの正面、あっけなく2回の攻撃が終了してしまいました。ここまでは、失礼ながらお互いの力は拮抗しているように思えたのですが、東洋はなかなかチャンスを掴むことができません。3回表も、相手の先頭打者をデッドボールで出してしまいますが、2番をセカンドゴロ、3番手をファーストゴロ、最後はセンターフライに打ち取り、あとは流れに乗るだけといった状態です。その後も相手の先頭打者のフライをファーストが懸命に追いかけファールフライに打ち取ったり、三振を二つ続けて取ったりと、相手に大きな流れを渡さずに4回裏までを0対1で終えたのですが、5回の表、北里順天高校へと大きく流れが傾いてしまいました。

 まずは相手の先頭打者がショートの横を抜くヒット。次の打者のバントをファーストでアウトにし、1アウト二塁に。3番目の打者にレフト前ヒットを打たれ1アウト一・三塁のピンチとなったところで東洋はタイムを取ります。内野手がピッチャーに駆け寄り、相手の流れを食い止めようと努めます。その甲斐もあってか、次の打者は一塁ゴロに打ち取れた、ように見えたのですが、そのボールをフィールダースチョイスしてしまい1点を追加されてしまいました。その後も打ち取ったライトフライのバックホームへの送球が逸れ、さらに1点を献上。次の打者にも二塁打を打たれ、相手の得点は4点に。さらにキャッチャーが補球をミスする間に相手走者はサードへ進み、次のセンター前のヒットはセンターが転倒している間に、ランニングホームランにされてしまいました。

 相手が6点目を取ったところで、東洋はピッチャー交代。入江君から小沼君に変わった最初の打者を三振に打ち取り、ようやくチェンジ。相手の長い攻撃が終わりました。相手の掴んだ流れを断ち切ってこちらに呼び寄せたいと、スタンドの応援はさらに力強くなりました。が、その裏の攻撃も三者凡退で終了してしまいます。5回が終了し、0対6。選手のインターバルの間にグランド整備が入ります。遠くに蝉の声が聞こえる静かなグラウンドを目の前にし、東洋高校応援団の、それぞれが祈るような時間が過ぎて行きました。

 6回表、それまでの相手の流れを変えるべく臨んだ守備でしたが、ここでもサード前の打ち取ったボールの1塁への送球が大きく逸れて2塁打になるなどミスが目立ち、追加点を与えてしまいました。そしてその裏も、ツーアウトからセンター前ヒットとファーボールで得点圏へと塁を進めていながら、得点に結びつきません。1点が遠いことを痛感する時間が続きます。7回にピッチャーが井澤君に交替し、エラー、ファーボール、フィールダースチョイスなどで満塁になるも、何とか0点でこの回を抑えることができました。

 7回表が終了し0対7。コールドゲームを許したくない東洋は、先頭打者から積極的に攻撃を仕掛けますが、当たったボールはショート前へ。ショートが深いところで守っていたため、打者は全力でヘッドスライディングをしましたが、わずかに届きませんでした。しかし、その気迫あふれるプレーがベンチ、応援席にも伝わりました。続く打者がレフト前にヒットを放ち、その次も相手のショートの落球などが重なり2アウトながら初めて満塁のチャンスを掴むことができました。祈るような気持ちで東洋応援席が見守る中、椿君がヒットを放ち、ようやく攻めあぐねていた相手から1点をもぎ取ることができました。回も後半、その後も追加点が欲しいところでしたが、続く打者がファーストフライ、三者残塁で終わってしまいました。7回コールドは回避できたものの、8回の守備でも送球ミスなどがあり2点を追加されてしまいました。8回裏には相手の投手が交代し、二つのファーボールもあり塁に出ることはできたものの、最後は三振で試合終了。1対9で、野球部の今年の夏は終わってしまいました。

 結果としては大差で負けてしまいましたが、送球や捕球のミスなどがなくなれば、もっともっと緊迫した試合ができるようになるのではないかと思わされる試合でした。また、この試合を通して私が一番強く感じたのは、選手と応援席との「一体感」でした。吹奏楽部、ソングリーダー部をはじめとした東洋高校の応援席全体が、選手たちと気持ちを共有していました。そこにいる全員の想いが一つになった時間と空間は、実際にそこにいた者だけが味わうことのできた、心が温かくなる幸せな時空間でした。

 試合終了後、相手校の先生が東洋高校の応援席にいらしてくださり、「素晴らしい応援でした。うちは応援では負けました」という労いの言葉をかけてくださいました。幸せな一日を与えてくれた野球部と、その応援にいらしてくださったすべての皆様に感謝するとともに、北里順天高校の次試合での活躍と、東洋高校の野球部のこれからの躍進に思いを馳せて球場を後にしました。