校長贅言2-15 世界を身近に ~二つの海外大学説明会が実施されました
10月末から11月末にかけて、ニュージーランドとオーストラリアの大学関係者による説明会が実施されました。
10月30日(木)、ニュージーランド・クライストチャーチにあるリンカーン大学の説明会が実施されました。当日はインフルエンザA型の罹患者が校内でも出始め、1年生の一クラスが学級閉鎖になっているといった状況でもあったため、生徒の参加状況は芳しくありませんでしたが、逆に、個人的な質問に何でも答えていただけるといった、落ち着いた状況で説明会が実施されました。
説明をしてくださったのは、昨年度も同大学の説明会でお世話になったStudy Travel New Zealand代表の丸山凜太朗さんです。丸山さんはご自身がリンカーン大学の卒業生であり、日本からリンカーン大学へ入学する際の窓口となってくださっています。
説明はニュージーランドという国やクライストチャーチの街などの様子・魅力を話すところから始まり、そもそも留学するということにどのようなメリットがあるのか、その中でニュージーランドの大学は他の国の大学とどのように違うのか、またリンカーン大学はどのような強みを持っているのかということなどが話されました。日本の大学とリンカーン大学とが大きく異なる点として、リンカーン大学では大教室での講義が授業の多くを占めるということがなく、フィールドワークが多いということなどが話されました。頭だけで物事を理解するのではなく、現地での実験・観察を多く取り入れ、物事を実感として理解することで、社会で通用する知識となるといった考え方がベースにあるようです。
リンカーン大学では、農業や生命科学、不動産、会計、金融、ツーリズム、環境デザインなど多くの学問が学べますが、その多くが「土地」に根差した学問であり、学位の中に職業実習も含まれているということをお聞きすると、この大学がニュージーランドの大学の中で「就職に強い大学1位」であるということも頷けます。
高校卒業後、大学に入学するまでのコースに関する説明や、留学までの日程、大学入学から卒業までの流れも説明され、さらにリンカーン大学がニュージーランド国内の他の大学と異なる点や、他国の大学と異なる点なども紹介されました。他国やニュージーランド都市部の大学に比べて留学費用を安く抑えられる点や、教授一人につき学生数が圧倒的に少ない少人数教育を展開しているといった点、高い学術レベルにありながら卒業率も高いなどといったお話をお聞きすると、希望する学部さえあれば、面倒見の良いリンカーン大学で学ぶ選択肢もあるのではないかと思えた説明会でした。
充実した内容の説明会の終了後、丸山さんよりニュージーランド土産の羊の小さなぬいぐるみをいただき、参加した生徒も嬉しそうでした。
リンカーン大学説明会から3週間後の11月20日(木)には、オーストラリアのブリスベンとゴールドコーストにキャンパスを持つグリフィス大学の説明会が実施されました。この日は後期中間試験の1週間前にあたっており、本来であれば生徒会活動が禁止される期間だったのですが、先方の来日日程の都合もあり、イレギュラーな日程での実施となってしまいました(東洋高校に来る直前まで韓国に出張されていて、今回日本国内での説明会は東洋高校のみの実施だということでした)。試験勉強期間中ということもあり、この日も参加者数は少なかったのですが、グリフィス大学、学生募集課のPhilip Hoさんは終始笑顔で参加者の質問に丁寧に答えてくださいました。
今年度、東洋高校はグリフィス大学と提携を結び、同大学で創設されたばかりの「校長賞」授与の該当校として、卒業生が進学した際には奨学金を授与されることが約束されています。また、同大学英語コース、ディプロマコースへの入学時にも奨学金をいただけるという取り決めがなされています。
説明会では、はじめにオーストラリアに関する基礎情報やキャンパスのあるブリスベンやゴールドコーストの様子が話されました。ブリスベンでは2032年にオリンピックが開催されることが決定しており、街がさらに活気づくであろうということは予想できましたが、市内在住者の平均年齢が34歳だということと、それゆえにすでに活気あふれる街であるということをお聞きし、日本とのあまりの違いに驚かされました。気候が温暖なクイーンズランド州にあり、グレートバリアリーフ(海岸)も近く、人々がみなリラックスした様子で人生を過ごしているといった、東京の暮らしとは違った空気の流れている都市のようです。シドニーやメルボルンなどオーストラリアの他の都市と比べても、物価の面や気候の面などを比較すると住みやすい場所であるということが説明されました。
その後、グリフィス大学がいかに世界的に優れた大学であるかが紹介されました。大学の世界ランキングのトップ2%に入る大学であり200以上の専攻分野を有しているということ、図書館が24時間開館しており、帰りが遅くなった学生は車で家まで送ってもらえるということ、4万人以上の学生が在籍しているが、入学初年度のディプロマコースの授業は少人数で行われているということ、不安や悩みを抱えたときに相談することのできるスタッフ(相談員)が多く在籍しているということなどが話されました。
歩いて20分でサーファーズパラダイスへ行けるというゴールドコーストキャンパスには、野生のコアラが大学敷地内の林の中に生息しているなどという話を聞き、その映像を目にすると、日本の高校生の多くが憧れる「留学生活」がそこにはある、と思えるような話でした。2027年には新しい学生寮もできるということで、学生たちはさらに快適に過ごせるようになるようです。
参加した生徒が一番気になっていたのは学費と奨学金についてでしたが、高校での評定平均が4.0以上あれば、4年間で800万円ほどの奨学金が得られること、大学で頑張って優秀な成績を取ることができれば、学費が半額に免除されたり、さらには学費から生活費までを含めて全てが無料になる程の額の奨学金を得ることもできる、ということでした。グリフィス大学の卒業生でもあるフィリップさんの奥様は、実際に学費と生活費とを賄えるだけの奨学金をもらっていたということでした。奨学金の種類も600を超える数があるということでしたので、東洋高校の卒業生が複数の奨学金をいただける確率はかなり高いのではないかと思えました。
友好的な人々の住む、海の間近にある街のキャンパスで研究に打ち込める学生たちのことを考えると、とても羨ましく思えた説明会でした。
リンカーン大学、グリフィス大学ともに東洋高校の生徒のためだけに実施してくださった今回の説明会。丸山さん、フィリップさんのおかげで、大きな会場では聞くことのできない、贅沢で温かい説明会となりました。

