校長贅言2-20  「自分で」解決すること ~3名が1年間留学から帰国、7名が1年間留学に出発しました

[校長贅言,国際交流]

 昨年11月末から12月末にかけて、1年間留学をしていた3名の生徒たちが元気に帰国しました。それぞれの留学先がオーストラリア、ニュージーランド、カナダと分かれていたために、生徒たちは一人で出国し、それぞれの地から一人で戻ってきました。

 11月末から1月の春高バレー終了後までの間、今回帰国したそれぞれの生徒たちが留学終了の報告に来てくれました。

 最初の報告は、11月末にオーストラリア・クイーンズランド州、ロックハンプトンから帰国した山浦さんよりありました。

 今回の留学では長期の休み期間に3回に分けてホームステイも経験したようですが、彼女の通っていたRockhampton Grammar Schoolでは、留学生は学生寮で生活をします。高校の敷地内にある寮に入ることで、多くの同じ世代の人たちと短期間で友達になれるというメリットがあり、山浦さんもこの寮生活で多くの友だちができたようです。日本に興味のある生徒も多くいたようで、話す話題には事欠かなかったようでした。同世代の使うスラングを覚えたことも、寮生活ならではの「収穫物」だったようです。一緒にショッピングに出かけたり校庭で遊んだりと、多くの時間を友だちと過ごしたそうです。

 授業中は、先生が話している最中でも多くの質問が飛び交っていたようで、とても活発に意見のやり取りをしたそうです。山浦さん自身も、しばらくするうちに質問ができるようになったということでした。学校の周囲には自然があり、先生方も友達のような雰囲気で、学校が大好きになったと話してくれました。

 留学中一番楽しかったできごとを尋ねると、タスマニアで行われた「サバイバルキャンプ」という答が返ってきました。現地に到着するまで「持ち物」以外の案内はなく、何をするのか誰も知らない中で実施されるキャンプに恐怖を感じ、はじめは行きたくなかったそうですが、ロッククライミングやカヌー、バイクなどを経験するうちに自然に男女関係なく助け合うようになり、それまで以上に交友関係が広がったそうです。

 「1年間はあっという間に過ぎた」という山浦さんにこの留学を通して得たこと、気づいたことを聞いてみると、「留学前も様々なことに自主的に取り組んでいたつもりだったけれど、多くの場面で家族や友だちに頼っていたということに気づいた。留学先でももちろん友だちに助けられたけれども、たとえば飛行機の手配など、何でも自分でやらなければならないという状況の中で生きて行けるようになった」ということと、「オーストラリアの友だちの話を聞いて、将来について考えることが多くなった。友だちとの話が良い刺激になり、視野が広がった」ということを語ってくれました。

 

 次に留学報告をしてくれた村田君も「留学前より自立心が育った」ということを話してくれました。一人で行動することや行事に参加することにも抵抗がなくなり、留学生活を楽しむことができたそうです。また、人と人との距離感や、学校の様子の違いなどについて感じることもあったようです。知らない人とでも、道ですれ違う際には挨拶を交わすのが当たり前といった、日本、とくに都会の日常生活ではまずありえないような行動に驚き、学校生活では良くも悪しくもプレッシャーがないことに気づいたということでした。「学力」ではなく「自分のペース」を考えながら過ごす高校生活は、村田君にとっては居心地の良い時空間だったようです。また、留学していたニュージーランドのParaparaumu Collegeはウェリントンの郊外にあるため、田舎の景色にも癒されたと話してくれました。たまにショッピングモールで食事をしたりゲームをしたりと、友だちと仲良く過ごす時間や、2件の、それぞれ異なったタイプのホストファミリーと過ごした時間も貴重だったようです。どちらの家庭でも村田君の体調を気遣ってくれて、寂しさは感じなかったということでした。

 「世界中どこにでも行ける程度の英語力は身につけることができた」という自信を手に入れ、将来は日本企業の海外支社で働きたいという目標も見えて来たようです。

 

 冬休みが明け、春高バレーが終了した後は、カナダ・ブリティッシュコロンビア州のSpectrum Secondary Schoolより戻ってきた鶴岡さんが留学報告をしてくれました。

 鶴岡さんに「どのようなことを身につけて帰ってきたか」と尋ねたところ、「世界を知ることができた」と話してくれました。彼女の通った学校にはヨーロッパや中南米の各国、中国や韓国など多くの国からの留学生が通学していたらしく、様々な国からの留学生とともに学ぶうちに、良い意味で、彼らが相手への忖度をしないということに気づいたそうです。日本では、たとえ同じクラスの中であっても他人の目を気にしたり、主張することを遠慮したりすることがありますが、時にはそうすることで自分自身の意見を殺してしまうこともあります。相手を一方的に気遣うのではなく、それぞれが素直に意見を言い合うことでこそ交友関係を築くことができたということでした。様々な国から集まった友だちと、様々な意見を述べ合う中に身を置くことで様々な国や地域――広い世界を、身を以て知ることができたようです。

 また、「家族と離れて暮らしたことで成長できた」とも話してくれました。学校では留学生が特別扱いされることもなく、授業中はみんなが発言をし、知らない同士でも気軽に話しかけられる雰囲気があったようで、学校での生活に寂しさを感じることはなかったようです。3件のホームステイを経験したそうですが、それぞれが異なるバックグラウンドを持った家庭だったようで、食事に関しても家族構成に関しても、様々な経験をできたことも良かったようです。学校でも家庭でも良好な関係を築けたことで、日本の家族への連絡はほとんどしなかったということでした。日本のゲームや音楽について話し合う友だちや実の妹のようにかわいがってくれたホストシスターなど、周囲の人たちに恵まれ、人間関係でのストレスがなかったために、この留学を通じて「自分のことは自分の力で何とかする」という姿勢が基本になったと話してくれました。

 

 今回、1年間留学から戻ってきた3人に共通しているのは、「なんでも自分自身で解決しよう」という強さを身につけて戻ってきたように思えることです。もちろん、留学に出発する前は保護者に頼っていたり、留学先でも友人を頼ったりすることはあったようですが、今回の留学を経てそれぞれが「結局、最後は自分で考え、行動しなければならない」というような判断力と行動力とを身につけたように感じられました。3人は、それぞれが自分の頭で考え、自分の意志で未来を切り開いて行くことのできる人に成長したのだと思います。

 

追記:1月23日(金)には5名、27日(火)には2名が、それぞれニュージーランドとカナダの高校に向けて1年間留学に出発しました。彼らも今回帰国した生徒たちと同様に、逞しさというお土産を持って帰ってくるに違いありません。